カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
足に力が入らない。

頭が痛くなるくらい泣いた。
無理矢理止めようとしても涙は止まってくれない。

泣き声を出さないように喉に力を入れていたからズキズキと痛む。

それでも一瞬でも悠太の笑った顔を、私の名前を呼ぶ声を、「可愛いね」って言ってくれた悠太を思い出すだけで涙は次々とこぼれた。

もう友達じゃない。

その言葉は本当に本心なのかなぁ…。

本郷先輩に脅されて私を守る為に言ってるんじゃないの?

だって終礼までは私達は普通だった。
いつもと変わらない会話をしてふざけ合ったりもした。
あんなに笑い合ってたじゃん!

なのに急に大嫌いだなんて…友達じゃないなんて…。

どれくらい空き教室に居たか、どれだけ泣いたかも分からないくらい泣いて、自宅に帰ってきた時にはここまでどうやって歩いてきたかすらはっきりしないくらい、頭の中にモヤがかかったみたいに呆然としていた。

鞄を取りに教室に戻ったはず。
誰も居なくて、真っ暗だった。
まだ鍵がかけられていなくて良かったって思った。

「砂雪!遅かったわね。明日から試験でしょ?生徒会も無いって言ってたから心配したわよ!ご飯食べる?」

「お母さん」

「何、どうしたの?」

「ちょっと具合悪い」

「えぇ!?」

お母さんが私のおでこに手の平を当てた。
自分のおでこにも当てながら私の顔を見た。

「熱は無いみたいだけど」

「でも具合悪いの」

「サッとお風呂入って寝ちゃいなさい。お粥でも作ろうか?」

「いらない」

鞄をリビングに置いたまま、私は脱衣所に行った。

「ちょっと!大丈夫なの?」

「ん。パジャマ置いといて」

熱めに設定したシャワーのお湯にあたっても、湯船に浸かって顔まで潜ってみても、自分がここに居る感覚が無い。

だって悠太の中から私は本当に消えちゃったんだもん。
明日からはもう…ううん。今も、もう私達は友達じゃない。

お風呂から上がってリビングに居るお母さんに声をかけた。

「ごめん、やっぱご飯食べれない」

「大丈夫?無理しないのよ」

「うん」
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