カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「先輩のおうちって、ここから隣町ですっけ?」

「隣の隣。北に向かって」

「ちょっと遠いですね。いつも送り迎えですか?」

「そー」

「さすがお金持ち」

「別に普通だろ」

「それが普通なら先輩の普通はイカれてますよ。…私のうちはね、隣なんです。南側に」

「知ってる」

「ですよね。先輩のおうちからもう一つ隣に大きい県営の公園があるの知ってますか?依頼で行ったのとは別の」

「知ってるよ。大きいアスレチックがあるとこだろ」

「そうです。私の家からだとちょっと遠いんですよ。小学生の足だと特に。だから小学生の頃は母校の遠足スポットはそこでした。バス遠足です。車で行けばすぐそこなのに、小さい頃はちょっとした旅行気分で遠足が好きでした」

「…へぇ」

先輩が壁掛け時計をチラッと見た。
時間はまだまだある。

「小五の時です。春の、新入生歓迎の遠足でした。公園に着いたのが確か十二時になるちょっと前でした。全校のバスが到着して、学年ごとに学年主任の話を聞く為に整列してたんです。その日、どこかの中学校の一年生が写生の授業で来てるって言ってました。本当に大きい公園だから、窮屈さは全然無かったと思います。…先輩はどうでしたか?」

「なんで俺に聞くんだよ」

「あの日来てた学校って、中一の時の先輩達ですよね?」
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