カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
抵抗できない。
そんな気持ちすら湧いてこないのはなんでだろ…。

素直に先輩の腕の中で甘えればラクになるのかな。
先輩にこんな苦しそうな表情もさせなくて済むのかな。

先輩って本当に…私だけなの?

私が素直になって全部を委ねれば私達は…鈴城さんは………。

「嫌…だ…」

「次は何が嫌なんだよ」

「その香水…私だけでいいなんて嘘じゃないですか…」

「どういう意味?」

「鈴城さんに貰った物ですよね?そうやってお守りみたいに鈴城さんをそばに置いてたんですよね…私よりもずっとずっと…」

「砂雪がだめって言うならやめる」

「鈴城さんが泣いちゃうかも」

鈴城さんはその香水はもう捨てた。
でも本郷先輩には言えなかった。

鈴城さんは先輩のことが好きだから幸せを願ってるって言った。

今までの時間が嘘になるわけじゃない。
でも鈴城さんの恋は終わってしまう。

傲慢だけど私のせいで恋が終わるのに、私は彼女にしてあげられることが何も無い…。

「みなみなら分かってくれる」

「酷いよ先輩。そうやって鈴城さんを都合いいように扱って…」

「お前が嫌って言ったんだろ?」

最低だ…。今になって鈴城さんとの絆に嫉妬するなんて。
私と本郷先輩の幸せを願ってくれた人の影に怯えるなんて。
鈴城さんのこと大好きなのに…なんで私って自分のことばっかりなんだろう。
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