カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
本郷先輩の体が私から離れた。

目だけで先輩の動きを追ったら、ドリンクサーバーの横の冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取って、ポケットから取り出した何かを口に含んだ。

薬…?
持病でもあるの?発作?

先輩がそばに戻ってきて、私の首の下に腕を滑り込ませた先輩は、そのまま私の体を起こした。

「先輩?」

ミネラルウォーターを口に含んだ先輩。

そのまま………。

キスされてしまった。

「ンーッ…!!!」

ポタポタと滴る水滴。
開けてしまったくちびるから水とラムネのような何かが流し込まれる。

「ゃッ…!」

ドンって強めに体を押したら、先輩の体が離れた。

「私のファーストキス!」

咄嗟に叫んでしまった言葉に先輩は満足そうに口角を上げて、口を拭いながら言った。

「お前の恋なんて壊してやるよ」

「なに…言ってるんですか…」

「砂雪、俺を忘れたなんて言わせない。お前が俺を思い出すのが先か、お前の恋が壊れるのが先か。どっちしてもお前を絶対に逃さない」

「ヤダ…」

「嫌なら全力で逃げてみろよ」

先輩が私の首に触れた。
ビクッと体が跳ねる。

「ゃ…さわん…ない、で…」

「砂雪は俺に触るのに?」

「へんッ…へんなの…何したの!」

体が熱い。
先輩に触れられたところからどんどん熱が広がっていくみたいに…力が入らない。

先輩が口に含んだのは絶対に変な薬だったんだ…。
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