カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
お迎えに来てくれた車の前で待っていた人が、鈴城さんに「お帰りなさいませ」ってお辞儀した。

これって執事ってやつ?
現実世界に存在するんだ。

本郷先輩のお迎えもきっとこんな感じなんだろうな。

鈴城さんが先輩のお迎えもお願いしていてくれて良かったってちょっと思った。

あのまま生徒会室に取り残されたら、鎮静剤も飲んでいない先輩がどうなってしまうか少し怖かったから。

本郷先輩がやったことを許すことはできない。
こんなの絶対に犯罪だもん!

でも先輩がやったことを公にしたって、この学園で私に勝ち目は無い。

私が先輩を忘れていることが気に入らないみたいだった。
「忘れてしまった何か」を思い出せれば、あんなこともうやめてくれるの?

本郷 カナデ。あなたは一体誰なの。

奪われてしまったファーストキスのことを思い出すたびに胸がチクンって痛んだ。
悠太にだけは絶対に知られたくない。

私が無かったことにすれば、そんなのは存在しないことと同じだって信じたかった。
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