俺様御曹司は逃がさない
「歯ぁ食いしばれよ」

「し、仕返しのつもり……?ま、まぁいいけど。別にいいけど?お互い様ってやつだし?でっ、でもさ、あんたが本気であたしにビンタをするっていうのは、如何なものかな?って思ったりするけどね。ほら、あたしとあんたじゃ力の差がっ……」

「もう喋んな。舌噛んでもしんねーぞ」

「お、オッケーオッケー。あの、力加減っていうのをお忘れなく、いい?分かった!?あんたのビンタとかあたし多分死ぬから、マジで、冗談抜きで!!」

「黙れ」

「ばっちこーーい!!!!」


ギュッと目を瞑り、グッと歯を食い縛った。

来るであろう、とんでもない衝撃に備えて……。



────── え?


痛く……ない……。

何も痛くない……。

ただ、唇にとても違和感を感じる。

柔らかくて、あたたかいの。

パチッと目を開けると、パチッと目を開けている九条が、あたしの瞳にドアップで映し出される。


・・・・なんで、どうして……九条にキスされてるの?


ゆっくり離れた九条。


「……は?」

「あ?」

「なんで……?意味分かんない」

「さぁ?俺もよく分からん」

「は?」

「別に良くねえ?キスの1つや2つ。減るもんでもあるまいし~」

「……減るわボケェェーー!!」

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