俺様御曹司は逃がさない
────── あいつを除いて……な。


すると、七瀬がこっちへ振り向いた。

俺と確実に目が合っている。

離れていても視線がしっかり絡み合い、あいつ以外なにも見えなくなった。

音も聞こえない。

この世界に七瀬と俺しか居ない錯覚に陥る。

あいつが妙に美しく見えた。

そんな七瀬が俺にニコッと微笑み、そして…………しれっと中指を立ててやがる。

ベーッと舌を出して、鼻で笑うように俺を小馬鹿にしている七瀬。


「……あんのクソアマ」

「ん?なんか言った?……って、ちょっ、柊弥!?ギャァーー!!」


俺はストレスを発散すべく、凛が乗った浮き輪をこれでもかってくらい引きずり回した。


「ハァッ、ハァッ、ハァッ……蓮、代われ。さすがに疲れた」

「あらあら、凛が気絶しちゃってるじゃないか」

「三半規管弱すぎんだろ」

「いや、もうその次元ではなかったよ」

「そうか?ま、いいだろ。本人も満足してそうだし」

「いや、気絶しちゃってるからね」

「そうか」


気絶してる凛は蓮に任せて海から出た。

大したことねぇ女が次から次へと話し掛けてくる。どうせ俺のルックスと金目当てだろ?見え見えなんだよ、気持ちワリー。

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