俺様御曹司は逃がさない
「柊弥。引っ張って~」

「へいへい」


凛の乗った浮き輪の紐を適当に引っ張る。


「柊弥。引っ張ってくれ」

「へいへい」


蓮の乗った浮き輪の紐を適当に引っ張る……いや、なんでだよ。


「おい。お前は自分で何とかしやがれ」

「つれないなぁ~」


チラッと海の家の方へ視線をやると、俺の目はすぐ七瀬を見つけやがる……というより、あいつしか映し出さねえんだよな。

他はただのモブでしかない。

そのただのモブ共に、ニコニコとバカみてぇに愛想振り撒きやがって……クソ気に入らねえ。

俺には大概ムスッとしてるか、般若みたいな顔しかしないくせに。

・・・・つーか、周りのクソモブ共がニヤニヤ、ニタニタして七瀬を舐め回すように見てやがる。

それ、誰のモンだと思ってんだ?テメェら。

七瀬も七瀬で気付けっつーの。

なぁんでこうも鈍いかね、あいつ。

変に男勝りな部分があるからな。 

“あたしを女として見てる人なんて別に居ないでしょ。気にしすぎじゃない?”的な感じで思ってるわな。

お前、黙ってりゃそこそこイイ女だってこと、いい加減自覚しろって。

ま、口を開けば“残念女”まっしぐらだけど、男なんざ見てくれが良けりゃ何だっていいって奴が大半だろ。

まあ、俺は見てくれすらどーでもいいが。なんだって一緒だろ。

女なんて誰でも変わらん。

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