【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「変に期待させるなよ?」

「しないってば。あぁもうこんな時間。あとは2人でごゆっくり!」



執拗な弟を振り払い、階段を駆け下りていった。

しばらくして鍵がかけられ、家全体に静寂が広がる。



「……和訳教えるんじゃなかったの?」

「っ……!」



耳元で呟かれて、のどが詰まったような声が出た。肩をすくませた状態でゆっくりと振り向く。



「……聞こえちゃってました?」

「うん。窓開けてたし、この部屋、玄関の真上だから」



極秘のはずが、まさかの筒抜け。

終わった……。今度こそ軽蔑された……。



「なんてな。全部紅輝から聞いてるよ」



すくんでいた肩がガクッと落ちたかと思えば、クスッと笑われた。

全部……? って、どこからどこまで……?

部屋に入れてもらい、カーペットの上に腰を下ろして向かい合わせになる。



「さっき、紅輝がここに来て、あの日のことを話してくれたんだ」

「あの日、って……」

「……山路に、会った日」
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