だって、そう決めたのは私

第51話 心配で仕方ない

 今日は佐々木くんが心配して、アトリエに来てくれた。プロポーズなんて話を彼にしてしまったからだと思う。休日だというのに様子を見に来てくれたのだ。本当に、とても優しい子。シチューを口に運んで、少しだけ口元を緩めた。

「久しぶりに一緒に食べれたね。やっぱり、クリスマス前って忙しいの?」
「うん。今年は小物のセットを沢山作らなくちゃいけなくて、ちょっとギリギリなの」
「そうなんだ。私に手伝えることはないだろうし……あ、明日はお弁当無理しなくていいよ。ちょっと厄介な子が入院してて、少し早く出たいし。この後、文献も漁らないといけない」
「そうなの? あ、じゃあ、おにぎり弁当でもいいかな。玉子焼きときんぴらくらいの」
「うんうん。いいの? 無理してない?」
「大丈夫」

 ありがとう、とカナちゃんが微笑む。珍しく僕の仕事に興味を示して、なんだか素直だ。きっと、彼女も疲れているのだろう。年末に向けて、仕事も忙しいのだろうから。病院に加えて、会社もある。僕に出来ることは、ちゃんとやってあげたい。
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