だって、そう決めたのは私
「ん、何だ。匡からだ。出ていい?」
「うん。どうしたんだろう」
まぁくんから、カナちゃんに電話。チラリと自分の電話を見てみたが、特に鳴っていなかった。何だろう。モヤモヤするな。
「もしもし。あ、うん。え? 大丈夫なの? うん、うん。あぁ……そっか。私が匡の部屋に居てもいいけど……」
まぁくんの部屋にカナちゃんが行く? 何の話だと身を乗り出すと、彼女の顔が一段と深刻そうな表情に変わった。
「とりあえず、宏海に確認するから。うん。いい? 絶対に大丈夫だから。あんたはまず落ち着きなさい。ブンタも不安がるでしょう。うん、うん。じゃあ、すぐかけ直すね」
「……まぁくん、どうしたの?」
「うん。おばちゃんがね、倒れたんだって。救急車はおじちゃんが呼んで、病院に運ばれたみたい。それで、匡も今から病院に行かなくちゃって」
「え? え? 大丈夫なの?」
「大丈夫。大丈夫よ、きっと。分かんないけど……ただ、おじちゃんが動揺してて、匡もまだ状況が読めないらしいのよ。それで、いつ戻ってこれるか分かんないから、ブンタを預かってくれないかって」
「……なるほど」
おばちゃん、大丈夫だろうか。自分の親も、だいぶ年を取った。いつかはこんな日が来ることくらい、想像はしてたけれど。急なことで追いついていかない。幼い頃からあの店に行っていた僕にとって、おばちゃんは第二の母だ。まぁくんと一緒に怒られて、まぁくんと一緒に褒められて。それで―――
「大丈夫よ、大丈夫」
下を向いたまま固まった僕の背に、カナちゃんの手が添えられた。とても温かい。自分だって心配で眉を落としているくせに、そうやって僕を落ち着かせようとするのだ。芯があって、本当に優しい人。こんな時に不謹慎だけれど、やっぱり好きだなって思った。
「うん。どうしたんだろう」
まぁくんから、カナちゃんに電話。チラリと自分の電話を見てみたが、特に鳴っていなかった。何だろう。モヤモヤするな。
「もしもし。あ、うん。え? 大丈夫なの? うん、うん。あぁ……そっか。私が匡の部屋に居てもいいけど……」
まぁくんの部屋にカナちゃんが行く? 何の話だと身を乗り出すと、彼女の顔が一段と深刻そうな表情に変わった。
「とりあえず、宏海に確認するから。うん。いい? 絶対に大丈夫だから。あんたはまず落ち着きなさい。ブンタも不安がるでしょう。うん、うん。じゃあ、すぐかけ直すね」
「……まぁくん、どうしたの?」
「うん。おばちゃんがね、倒れたんだって。救急車はおじちゃんが呼んで、病院に運ばれたみたい。それで、匡も今から病院に行かなくちゃって」
「え? え? 大丈夫なの?」
「大丈夫。大丈夫よ、きっと。分かんないけど……ただ、おじちゃんが動揺してて、匡もまだ状況が読めないらしいのよ。それで、いつ戻ってこれるか分かんないから、ブンタを預かってくれないかって」
「……なるほど」
おばちゃん、大丈夫だろうか。自分の親も、だいぶ年を取った。いつかはこんな日が来ることくらい、想像はしてたけれど。急なことで追いついていかない。幼い頃からあの店に行っていた僕にとって、おばちゃんは第二の母だ。まぁくんと一緒に怒られて、まぁくんと一緒に褒められて。それで―――
「大丈夫よ、大丈夫」
下を向いたまま固まった僕の背に、カナちゃんの手が添えられた。とても温かい。自分だって心配で眉を落としているくせに、そうやって僕を落ち着かせようとするのだ。芯があって、本当に優しい人。こんな時に不謹慎だけれど、やっぱり好きだなって思った。