だって、そう決めたのは私
第52話 愛しかった
おばちゃん、大丈夫だったかな。
仕事中。携帯電話が気になって仕方ない。朝、着替える時には、まだ匡から連絡は来ていなかった。メッセージをくれているのかも知れないし、今も来ていないかも知れない。隙があれば考えてしまう不安を、今日は必死に心の奥底に沈めている。
「お大事に」
患者を診察室から送り出し、診察台を掃除。それから、いつものようにカルテを書き終えて、ググッと背を伸ばした。これで午前の診察は終わりだ。入院している子を確認して、それから休憩できるかな。ふぅ、と一息漏らした時、何だか待合室が騒がしいのに気付いた。何かあったか。受付の子が、「院長先生、院長先生」と呼んでいる。午前の診察は終えたし、急患でも飛び込んで来たか。どうしたの、という呑気な暁子の声を確認して、私も腰を上げた。待合室に近づくにつれ、暁子の声が平静であると気付く。宅配の人? いや、それならそこまで騒がぬだろう。なんだ?
仕事中。携帯電話が気になって仕方ない。朝、着替える時には、まだ匡から連絡は来ていなかった。メッセージをくれているのかも知れないし、今も来ていないかも知れない。隙があれば考えてしまう不安を、今日は必死に心の奥底に沈めている。
「お大事に」
患者を診察室から送り出し、診察台を掃除。それから、いつものようにカルテを書き終えて、ググッと背を伸ばした。これで午前の診察は終わりだ。入院している子を確認して、それから休憩できるかな。ふぅ、と一息漏らした時、何だか待合室が騒がしいのに気付いた。何かあったか。受付の子が、「院長先生、院長先生」と呼んでいる。午前の診察は終えたし、急患でも飛び込んで来たか。どうしたの、という呑気な暁子の声を確認して、私も腰を上げた。待合室に近づくにつれ、暁子の声が平静であると気付く。宅配の人? いや、それならそこまで騒がぬだろう。なんだ?