だって、そう決めたのは私
「まぁくん、何だって?」
「うん、今から行って聞いてみるって。心配だけれど、ブンタがいつもと同じ状況で過ごせた方がいいからね。ここに連れてくるよりは、匡の家に置いたまま何とかした方がいいし」
「そうだよね」
静寂が走る。シチューに差し込んだスプーンが、小さく鳴った。それを口には運ばず、大丈夫よ、とカナちゃんが言う。それが最善なんだ、と言い聞かせているようだった。
まぁくんからの電話が鳴ったのは、それから十分位経った頃だった。良かった、とすぐに彼女が言ったから、隣の子に頼めたということだろう。カナちゃんは、何を伝えればいいか細かく指示を出す。ブンタのため、まぁくんのため、隣の子のため。不安そうな顔をして行くな。大丈夫だから。落ち着いて。カナちゃんは何度もそう言った。
「隣の子、見てくれるって」
「良かったね。おばちゃんは心配だけど……」
「そうよね。でもさ……私たちがここでバタバタしてても、どうにもならないから。大丈夫だって信じるしかないね」
普通の夜を過ごそう。そう言い合って、僕らは食事を続ける。本当は口には出さないけれど、心配で仕方ないというのに。
「うん、今から行って聞いてみるって。心配だけれど、ブンタがいつもと同じ状況で過ごせた方がいいからね。ここに連れてくるよりは、匡の家に置いたまま何とかした方がいいし」
「そうだよね」
静寂が走る。シチューに差し込んだスプーンが、小さく鳴った。それを口には運ばず、大丈夫よ、とカナちゃんが言う。それが最善なんだ、と言い聞かせているようだった。
まぁくんからの電話が鳴ったのは、それから十分位経った頃だった。良かった、とすぐに彼女が言ったから、隣の子に頼めたということだろう。カナちゃんは、何を伝えればいいか細かく指示を出す。ブンタのため、まぁくんのため、隣の子のため。不安そうな顔をして行くな。大丈夫だから。落ち着いて。カナちゃんは何度もそう言った。
「隣の子、見てくれるって」
「良かったね。おばちゃんは心配だけど……」
「そうよね。でもさ……私たちがここでバタバタしてても、どうにもならないから。大丈夫だって信じるしかないね」
普通の夜を過ごそう。そう言い合って、僕らは食事を続ける。本当は口には出さないけれど、心配で仕方ないというのに。