だって、そう決めたのは私
「隣のその子、松村さんって言うんだけど。母さんが気に入っちゃって。もう来るたびに、あれこれ聞いてて嫌になる」
「あぁ……想像つくね。おばちゃん」
「だろ? あの子もその……色々あったみたいだからさ。あんまり触れて欲しくねぇのによ。聞かねぇの、何の。匡は女運が悪いんだからって」
「百合ちゃんのことか。もう昔話なのにねぇ」
「だろ。百合だって、子供が三十だって言うし。そんな昔の男のことなんて、鼻くそくらいにしか思っちゃねぇよな」
それはどうだか知らないが。
まぁくんは、松村さんという女の子のことを色んな意味で気にしているみたい。おばちゃんが首を突っ込みすぎることに苛ついているんじゃなくて。彼女のことが好きだから、傷つくようなことはしたくないと思っているというか。何だか、そんな風に感じられた。
「つまりは、その松村さんっていうのが、あの夏の子。まぁくんの隣に住んでて、ブンタもお気に入りで、仕事の以来をしてきた」
「そう」
「何か運命的でいいねぇ」
「はぁ?」
「照れなくたっていいじゃん。僕だってさ、カナちゃんと再会できたのは運命だと思ってるんだから」
「それはそれは、ようござんしたね」
運命、という言葉が効いたのか分からないけれど、今ちらっとまぁくんの口元が緩んだ。そんな珍しい幼馴染にニヤニヤしていたら、ほら、と勝手に出てきたプリン。素直じゃないんだよな。昔から。
そんなことを思った時、店の扉が開く。ギギギっと少し音を立てながら、こんばんは、と可愛らしい声が聞こえてきた。若い女の子か。声を掛けながら入ってくるなんて、珍しいな。
「あぁ……想像つくね。おばちゃん」
「だろ? あの子もその……色々あったみたいだからさ。あんまり触れて欲しくねぇのによ。聞かねぇの、何の。匡は女運が悪いんだからって」
「百合ちゃんのことか。もう昔話なのにねぇ」
「だろ。百合だって、子供が三十だって言うし。そんな昔の男のことなんて、鼻くそくらいにしか思っちゃねぇよな」
それはどうだか知らないが。
まぁくんは、松村さんという女の子のことを色んな意味で気にしているみたい。おばちゃんが首を突っ込みすぎることに苛ついているんじゃなくて。彼女のことが好きだから、傷つくようなことはしたくないと思っているというか。何だか、そんな風に感じられた。
「つまりは、その松村さんっていうのが、あの夏の子。まぁくんの隣に住んでて、ブンタもお気に入りで、仕事の以来をしてきた」
「そう」
「何か運命的でいいねぇ」
「はぁ?」
「照れなくたっていいじゃん。僕だってさ、カナちゃんと再会できたのは運命だと思ってるんだから」
「それはそれは、ようござんしたね」
運命、という言葉が効いたのか分からないけれど、今ちらっとまぁくんの口元が緩んだ。そんな珍しい幼馴染にニヤニヤしていたら、ほら、と勝手に出てきたプリン。素直じゃないんだよな。昔から。
そんなことを思った時、店の扉が開く。ギギギっと少し音を立てながら、こんばんは、と可愛らしい声が聞こえてきた。若い女の子か。声を掛けながら入ってくるなんて、珍しいな。