極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「……」

 お手伝いさんがいつものように出迎えてくれたが、玲は無言のままだった。玲の異変に気が付いたお手伝いさんは口をつぐんだ。
 その後もしばらく沈黙が続く。そして食卓テーブルを囲い夕食のカレーライスを食べている時だった。

「雪乃さん。やっぱり私は迷惑でしょうか?」

 いきなり玲がぽつりと漏らしたその言葉に、私は疑問を抱く。そんな、迷惑だと思った事は一度も無い。
 もしかしたら、美幸が流した私の変な噂を間に受けているのだろうか。そんなの聞かれても否定すればいいだけだ。玲が私の本当の姿を話せばいいだけの事だ。

「そんな事ありません。弱気になればなるほど、美幸さんの思うつぼではないですか?」

 こうして私達の仲を引き裂かれたら、美幸は喜ぶに違いない。そうだ。こうして噂を信じて疑心暗鬼が進めば進むほど美幸は喜ぶだろう。

「そうでしたね。気を確かに持たなければ」
「もし私の事を聞かれたら、正直に私の事を話してください。ちょっとおおざっぱでとろい所もありますけど、あなたのお金を狙うような性悪ではないですから」
「……ありがとうございます。雪乃さん」

 止まっていたスプーンが再び動き、カレーを食べ進めていく。カレーはちょっぴりスパイスが効いていて辛さがあるが、その辛さの奥に濃い風味があるのがなんとなく分かった。
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