極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「……」

 私達は無言で車に乗り込み、帰路を急ぐ。すると車内で玲のスマホが鳴った。元気からだ。玲は素早くズボンの左ポケットから黒いスマホを取り出して電話に出た。

「もしもし?」
「玲、今大丈夫か? 雪乃さんもいる?」
「ああ、いるけど」
「明日の古田家主催のパーティー、お前を狙っていた令嬢がたくさん詰めかけてくるみたいだ。雪乃さんとの仲を問い詰めようとしているみたいでさ。しかも雪乃は門倉家の財産目当ての性悪女だと言う噂も流れ始めている」
「……は? そんな、十和の時みたいな……」
「そうなんだよ。十和の時みたいに今度は雪乃さんの変な噂が流れ始めている。探偵が調べた所、雪乃さんの噂を流しているのは古田美幸で確定だ」
「……っ」
「とりあえず気を付けておけ。何かあったらまずい。じゃあ」

 ここで電話は切れた。私と玲は互いに顔を見合わせる。私が玲の財産目当てで結婚しようとしている? そんなバカな。

(同僚らに知られてなければいいけど……)
「雪乃さん、心配しないでください。必ず私がお守りします」

 そう私の右手を取り口にした玲の手はほんの少し震えていた。

「玲さん、手が……震えています」
「……すみません。すみません……」

 玲が私に謝った所で、車は家の前にききっと到着した。
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