極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 座っている椅子は木製でどこかアンティークな雰囲気の作りだ。他にも店内に置かれている小物も小さな時計に花瓶とアンティークな見た目の物が多い気がする。

「お待たせしました。どうぞ」
「はい」

 そうこうしている間にレイに呼ばれ、エステルームに案内される。エステルームの個室は真ん中に大きな寝台があり、その上には白い布がかけられている。部屋の隅にはオイルにパウダーらしきものが入ったコンパクト風の入れ物などが入った金属製のカートが置かれてあるのが見えた。エステルーム内で見る彼の顔はパネルで見る顔よりも彫りがやや深いように見える。

「倉田雪乃さん、お待たせ致しました。初めまして、施術を担当するレイと申します。今日はよろしくお願い致します」
「倉田雪乃です。こちらこそよろしくお願いします」
「では、問診していきますね。ご質問にお答えいただけますか?」
「はい」

 問診内容は、主に症状についてのものだった。レイが持っているバインダーに挟まれた用紙には人の身体の図を真ん中に様々な用語が書かれているのが一瞬だけ見えた。

「なるほど、特に下半身に強く症状が現れているようですね」
「確かに言われてみればそうですね」
「まずは全体的にリンパマッサージでほぐしてから、下半身、ふくらはぎの辺りを入念的にほぐしていきます」
「わかりました、お願いします」

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