極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 私は咄嗟に謝った。玲のさみしげな表情を見た瞬間これはまずいと感じたからだ。だが玲は私の謝罪を大丈夫です。と跳ね除ける。

「で、でも……なんか……」
「いつかは話しておかないといけないでしょうし」

 玲はテレビの下にある棚から例の家族写真を取り出しこちらへとゆっくりとした足取りで戻って来る。

「これが家族写真です。振り袖着てるのが妹の十和です」
「とわ……さんですか?」
「はい。いつもおとなしいけれど、真面目でおおらかな優しい子でした……」

 玲の言葉がここで止まった。私は嫌な予感をピリピリと感じ取った。

「3年前自殺してしまったんです……」
「……っ!」

 玲の妹は自ら命を絶っていた。その衝撃に私は内臓を吐き出してしまいそうな程の形容しがたいものを覚える。玲はぎゅっと口を結んでいた。何があって彼女をそうさせてしまったのだろうか。

(いじめ?)

 でも御曹司の妹……令嬢の身分の女性がいじめられるなんて正直考えにくい。他の令嬢からいじめられるくらいしか無いんじゃないだろうか?

「何が……あったんですか?」

 気がつけば私は玲に、十和に何があったのかを質問していたのだった。玲は目を丸くさせると視線を床に落として何かを考えるような仕草を見せた後、私に視線を向け直した。

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