極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「雪乃ぉあそこのマッサージ店、良いよねえほんと」
「そんなに好きなんだ」
「系列店に女風のお店もあるって聞いたよ。今度そこも利用してみるつもり。雪乃は? どうよ?」
「私は……」
(玲さんがいるしなあ……)
「やめとく。沼ったら怖いし」
「ああ、だよねえ。まあ使いたくなったらいつでも言って」
「うん……」

 さすがに玲とあのような関係を結んでいる以上、プロとはいえ他の男性とそういう事をするのは気が引ける。玲にも申し訳が無いし浮気にあたりそうで怖い。
 昼食を食べ終えて一息休憩した後は午後の仕事に戻る。パソコンのキーボードをかたかたと動かして書類を作成したりしているうちに退勤時間がやって来た。

「はあぁ。雪乃お疲れぇ」
「終わったねえ」
「んじゃあ、今からいこっか」
「うん」
「あ、倉田先輩方お疲れ様です」
「お疲れーー」

 後輩や他の同僚らを見送りつつ、私はベリーズに行くと言った同僚と共にタイムカードを押して定時に退勤した。ああ、これが定時に帰るという事か。なんだか爽快かつ気分が晴れ晴れとしているような、そんな感覚がする。
 ロッカールームで着替えてオフィスを後にすると、ビジネスエリアから駅の近くにあるベリーズへ、時折帰り道を行くサラリーマンらをかき分けるようにして歩いていく。
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