【完】先生が意地悪で甘すぎる!〜激甘注意報発令中〜
S大といえば国内でもレベルの高い大学だ。
留学制度も充実し、就職活動にも手厚いフォローが受けられるという。学べる分野も多く、サークル活動も活発に行われているらしい。

確かにあともう少し勉強を頑張れば合格圏内に入る。
しかし、場所的に引越しを余儀なくされる距離なのだ。

この前だってA大に決めたと伝えたはずなのに、先生は何を考えているのだろう。

「魚住先生、失礼します」

この時間は化学準備室にいることを知っていた私は、力に任せるようにして扉を開いた。

「少し話したいことがあります。時間よろしいですか」

案の定奥で書類整理をしていた先生。
私が訪れるのを分かっていたかのように彼は「待ってたよ」と、眉を下げてうすらと笑みを浮かべた。

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