政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「で、こちらの女性は?」
男性の目線が明花に向けられる。
「雪平明花さん。俺のフィアンセ」
「初めまして、雪平と申します」
貴俊に続けて自己紹介すると、男性の目が明花の頭のてっぺんからつま先まで素早く走る。値踏みされたみたいで体が硬直した。
「へえ、タカ、結婚するんだ」
「その前にお前も自己紹介したらどうだ」
貴俊に窘められ、彼が目を軽く見開く。
「三橋壮太です。コイツとは大学時代からの知り合い」
貴俊を軽く顎で指す様子は、気の置けない仲間というよりは油断ならない人といった感じだ。だから最初に〝知人〟と表現したのだろう。
父親から聞いた話によれば、貴俊は一年前に日本に帰国するまでアメリカに住んでいたというから、あちらの大学で一緒だったのだろう。
明花は軽く頷き返すだけに留める。