政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「ともかく楽しんでいってくれ」
形式ばった笑みを明花たちに向け、三橋がべつの人の輪に加わってすぐ、今度は男女のペアが声をかけてきた。
「タカも呼ばれてたか」
「そりゃそうでしょう。ソウのライバルだもの。自分の手腕をタカに見せびらかすチャンスでしょ」
がっちりした体格の男性の言葉に、スレンダーな女性が続ける。深いスリットの入ったワインレッドのドレスがセクシーだ。
〝ソウ〟というのは三橋の呼び名だろう。彼のときとは打って変わりフレンドリーな雰囲気に、密かにほっとする。
「俺は眼中にもない」
「あらら、相変わらずソウのひとり相撲ってわけね」
「一方的にライバル視されて迷惑だ」
ふふふと笑う女性に貴俊はため息交じりに返した。
先ほどのように婚約者として紹介され、挨拶を交わし合う。
高柳と名乗った男性を〝ナギ〟、美也子と名乗った女性を〝ミヤ〟と呼び合う。三橋と同じく大学時代の友人だという。
つまりふたりもアメリカの大学出身だ。