政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「計画を担保する枠組みとして、事業支援や補助金などのインセンティブも検討が必要だろう」


穏やかな表情が一変、真剣な様子で電話の相手と話しはじめる。まとう空気から甘さが消え、真面目な横顔が明花の目を釘づけにした。

オンとオフの切り替えが素早く、そんなところにも胸をくすぐられる。

(……っと、邪魔したらダメダメ)

つい見惚れていたが我に返って使ったものを手早く片づけ、明花は部屋をあとにした。

思いがけず彼の本音を聞いたのに、電話に中断させられて残念なのと、戸惑いに高鳴る胸が限界を迎えなくて安堵したのと、複雑な気持ちを抱えながら片野不動産に戻った。
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