政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
なんと断られてしまった。残念に思ったのも束の間……。
「コーヒーは俺が淹れるから明花は覚えなくていい」
思いがけない理由がくすぐったい。
「ありがとうございます」
毎日、彼が淹れてくれたおいしいコーヒーを飲める幸せに胸が躍る。
「ところで、お庭にいる方たちはなにをしているんですか?」
庭に面したリビングの大きな窓の向こうに、先ほどからふたりの男女が忙しなく行き来していた。
「今夜の準備」
貴俊の答えに首を傾げる。
「明花との結婚生活スタートをお祝いして、今夜は庭でバーベキューをしよう。シェフを呼んでる」
「シェフを?」