政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「ああ。料理はすべて任せて、明花とふたりでゆっくりお祝いだ」
庭ではテーブルのセッティングがはじまり、傍らには料理をするためのカウンターが用意されている。大きなクーラーボックスには肉や魚介類が入っているのだろう。
「楽しそうですね」
「開始までまだ時間があるから、それまで好きに過ごしたらいい」
「それじゃ、もう少し片づけを進めますね」
「あ、それとせっかくのお祝いだから、お互いにドレスアップしようか」
コーヒーを飲み干し、立ち上がりかけた明花に貴俊が提案する。
「素敵」
新生活を祝うディナーなら、普段着より断然そのほうがいい。
「この前貴俊さんに買っていただいたドレスを着てもいいですか?」
一度だけの出番ではもったいないし、いい機会だ。