政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

自分を奮い立たせて顔をぐっと上げた。
ふたりから矢のような視線が飛んできたが、なんとか押し留まる。


「私は……離婚しません」


ふたりに反論したのは初めてかもしれない。いつも言われるまま受け入れるしか手立てがなかった。
でも今の明花には味方してくれる人がいる。


「ちょっ、なに言ってるの?」
「離婚しないってどういうつもり」


明花が歯向かうとは思ってもいなかったに違いない。ふたりは腰を浮かせかけ、眉を吊り上げた。


「あなたにそんな権利があると思ってるの? 雪平家の長女は私なの」
「恩をあだで返すなんて、そんな身勝手は許しません。恥を知りなさい」


さらに輪をかけて激しい口調で言い立てる。
ここで再び反抗したら火に油を注ぐだけ。なにより明花はそんな気力も残っていなかった。


「いい? わかったわね?」
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