政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
ふたりは言葉の刃を明花にさんざん向けたあと、それでも消えない怒りを抱えたまま最後に念押ししてマンションを去った。
途端に全身から力が抜けて、玄関で座り込む。もうふたりの姿はないのに動悸が激し過ぎて身動きがとれない。
いくら明花が以前より強くなったとはいえ、理不尽な言いがかりの波状攻撃によるダメージは大きい。
(貴俊さんと離婚しろだなんて……)
雪平の家から出てもなお、こうして明花を追い詰めるふたりが怖い。それほどまでに明花が憎いのだろう。
なんとか足を踏ん張って庭へ出たが、淹れたてだったコーヒーはすっかり冷めきっていた。