政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

どこにしようかと見渡しながら歩いていた明花は、ある店の前で足を止めた。
森の中に佇む、外国のホテルのようなレンガ造りがとても素敵である。入口のそばに立てかけられた黒板にカフェメニューが紹介されていた。

〝当店一番の人気メニューはクリームブリュレパンケーキ。おいしい紅茶といっしょにどうぞ〟

ポップな手書きの文字に誘われる。


「ここにしよう」


明花が店のドアに手をかけたそのとき――。


「明花さん! 待って待って!」


唐突に名前を呼ばれて足を止める。振り返ると手を大きく振りながら走ってくる人がいた。


「万智ちゃん……?」


いったいどうしてと思考がバグる。
万智は、わざわざ追いかけてまで人を罵るような女性ではない。


「よかっ……た……。見つけ、たっ」
< 195 / 281 >

この作品をシェア

pagetop