政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
息を切らせてやって来た万智は、明花の目の前で肩を大きく弾ませた。
「どうしたの?」
「明花さんを誤解させちゃったかと思って」
「誤解?」
話の流れが掴めず首を傾げると、万智は明花の代わりに店のドアを開けた。
「とにかく中に入りませんか? 私、走ってきたのでお腹ペコペコです」
「う、うん」
半ば強引に一緒に入店する。
グリーンを基調にした爽やかな店内は、お昼時を前にしてすでに混み合っていた。赤と白のコンビネーションの椅子がかわいい。
明花たちは通りに面した窓際の席に案内された。
メニューを見た万智が即決する。
「私はこれにします」
彼女が指を差したのは、黒板で紹介されていた一番の人気メニューだった。