政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「んん~っ、ふわっふわでおいしい」
「カリッとしている表面とのギャップもいいわね」
「はいはい、さすが一番人気だけあります。アッサムティーもコク深くていいお味です。生きててよかった~って感じ」


大袈裟な感想に思わず笑みが零れた。
最高のパンケーキと紅茶を堪能して店を出ると、水分を抱えきれなくなった雲からパラパラと雨が降りはじめていた。


「あちゃー、傘持ってくるの忘れちゃった」
「向かいにコンビニがあるから、私買ってくるわ」


通りの向かいにあるコンビニを指差した明花の人差し指を、万智がそっと下ろさせる。


「いえいえ、そんなのもったいないですよ。このくらいの雨なら平気。避けて走りましょ」
「えっ? 避けるって雨を?」


万智の発言に面食らう。


「そうです。はい、じゃあ行きますよー。明花さん、走って!」


万智に手を引かれ、カフェの軒先から一緒に駆けだした。
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