政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
外は、昼から降り続いた雨がまだ降っている。持っていた傘を開こうとしたが、貴俊に止められ、彼の傘にふたりで入る。
「相合傘、初めてです。……なんだか照れますね」
いかにもカップルという感じがくすぐったい。時折肩が触れ合うのもドキドキする。
「できることなら明花の初めては、俺が全部奪いたい」
「そ、そうですか」
「そうですかって」
クスッと笑いながら、貴俊が腰で明花を小突く。
「返し方がわからなくて」
貴俊の甘い言葉をうまく切り返せず、無難な〝そうですか〟をつい使ってしまう。たぶん明花は永遠に上手な切り返しは習得できないだろう。貴俊の前だと照れが先行して、頭の中はなにもまとまらないから。
「明花のそういうところ、じつは大いにそそる」
「はい?」
「初心なのがたまらないって言ってる。でも俺の前だけにしろよ」