政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「おいしそう!」
「もう食べられないんじゃなかったのか?」
「おかしいですね」
お腹はいっぱいなのに目は食べたいと訴える。サーブされたのは三種のフルーツシャーベットが盛りつけられたプレートだった。スイカにピーチ、キウイだという。
クスクス笑う貴俊に首を傾げつつ、遠慮なくスプーンを手にした。
油ものを堪能したあとのシャーベットは格別だ。
「さっぱりしておいしいですよ。貴俊さんも食べてください」
明花が隣の貴俊に笑いかけたときだった。
「明花?」
背後からよく知る、でも聞きたくない声をかけられた。振り返って確かめるより早く、背筋を悪寒のようなものが走る。
恐る恐る振り返った明花は、それが誰かわかっていたのに顔が凍りついた。佳乃だったのだ。
「やっぱり明花じゃない。――って、そちらの方はもしかして」