政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
貴俊が明花の手を取り握りしめる。よく言ったと褒められた気がした。
「……明花のくせに」
憎々しくボソッと呟いた佳乃の言葉を、貴俊は聞き逃さなかった。
「〝いくら御曹司だからって、メディアに顔も出せないような不細工な男との結婚なんて無理〟とさんざん吹聴していたそうですね。人を外見や境遇でしか判断できない、貧弱な脳の持ち主だ。憐れとしか言いようがない」
「なっ……」
貴俊への侮辱も知られ、照美も佳乃も言葉も失う。
「結婚してから明花への無礼がなくなればそれで許してやってもいいと思ってたが、そうもいかなくなりました。大切な私の妻を侮辱した罪は重い」
貴俊は脇の収納ボックスに置いていたブリーフケースからクリアファイルを取り出し、ふたりに突き出した。
恐る恐るファイルを手に取り遠目にして見ていたが、唐突に食い入るように読む。