政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
堅そうに見えたため身構えたが、その印象は話してすぐに変わった。
「本人に伝えておくよ」
「ありがとうございます。早速コーヒーをいただきますね」
ソーサーごとカップを手に取り、口をつけた。
それからほどなくして招待客リストの確認を終え、明花は貴俊とともに副社長室を出た。
階下のエントランスまで見送ると言って聞かない貴俊とエレベーターを待つ。先ほど糸井が言っていた停止板は、三基あるうちのひとつのドアの前に置かれていた。
ランプの点滅とともにエレベーターの扉が開き、貴俊とふたりで乗り込む。
「これからまたブライダルサロンへ?」
「はい。早いほうがいいと思うので」
「一緒に行けなくて悪いな」
「大丈夫ですよ。帰りがてら寄るだけなので」
サロンは沿線上にあるため途中下車するだけだ。
「そうだ。今夜、なにか食べたいものはありますか?」