政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

『じゃ電話を切ったらメッセージで場所の詳細を送るから』
「はい、よろしくお願いします」


仕事が詰まっているのだろう。貴俊が忙しなく通話を切る。

直後に彼から、店の場所がわかるURL付きのメッセージが届いた。

〝気をつけて行っておいで〟と添えられたひと言に彼の優しさを感じる。たったそれだけで絆されるのは、明花がそういった扱いに慣れていないせいだろう。

(それにしても貴俊さん、こんな遅い時間まで仕事で大変ね)

時刻はすでに十時を回っている。
忙しそうな彼の体を心配しつつ、その夜はどことなく浅い眠りについた。
< 81 / 281 >

この作品をシェア

pagetop