政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
振り返ると、天使のようにふわふわしたヘアスタイルの女性がにこやかな笑みを浮かべていた。
「パーティーに行かれるんですね」
明花と同年代の、雰囲気がとても華やかな人だ。
(この人が貴俊さんのお知り合いの方かな)
そうだとすれば名乗ったほうがいいかもしれない。
「じつは彼……に、ここを紹介してもらって」
貴俊をどう表現したものか迷い、彼氏の意味合いで伝える。婚約者と迷ったが、どちらにしても照れくさい。
「あっ、もしかして桜羽さんですか?」
「あ、はい」
「ちょっとお待ちくださいね。萌香さーん! 桜羽さんのフィアンセさんがいらっしゃいましたー!」
グレードの高い店におおよそ不釣り合いな元気な声で、店の奥に向かって声をかける。どうやら明花がここへ来る情報は、スタッフにも共有されていたようだ。