政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
その週末の夕方、パーティーに出席するための身支度を終えた明花は、落ち着かない気持ちでアパートの部屋にいた。
先ほどから狭い部屋の中で立ったり座ったり、ぐるぐる歩き回ったり。迎えにくる貴俊を待ち、とにかくじっとしていられない。
(大丈夫よ、ちゃんとメイクもできたし、髪も見よう見まねでスタイリングしたから)
華やかさを演出するためにラメ入りのアイテムを使い、普段よりしっかりメイクアップ。万智に借りたアイロンで髪の毛を巻き、緩めのハーフアップにも挑戦した。
貴俊に相談すれば、ドレスのときのように高級サロンを手配されてしまうに違いないから、どうにかこうにか自分で乗り切った。
とはいえ、これで大丈夫か不安で仕方がない。自分なりにまずまずの出来だとは思うけれど、貴俊の期待するレベルに届いているかどうか。ドレス姿の明花に会うのが楽しみだと言われたため、プレッシャーも大きい。
そうして部屋の中をうろうろしていた明花は、インターフォンの音に必要以上に体が強張った。
「は、はーい」
モニターも応答ボタンもないため、そのまま玄関へ向かう。