政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「すみません、お忙しいのにお迎えまで――」


そう言いながらドアを開けた明花は言葉を続けられない。
その場に現れた貴俊の麗しい姿に見惚れてしまったのだ。

ネイビーのスーツはかすかに光沢があり、それに合わせたライトグレーのベストとのコントラストが美しい。ドット柄のネクタイもダークレッドがベストマッチだ。

ほどよくフィットしているため、引きしまった体のラインがよくわかり、胸が勝手にドキドキと高鳴る。
貴俊は普段から洗練された着こなしをしているが、今日はさらに磨きがかかっていた。


「いつも以上にとても素敵です……」


声に感嘆が混じるのが自分でもわかる。


「それは光栄だな。明花もよく似合ってる。綺麗だ」


お世辞だとわかっていても、ストレートな褒め言葉に照れずにはいられない。


「ありがとうございます」
< 95 / 281 >

この作品をシェア

pagetop