政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
彼の目を見ていられず俯きながら返した。
「行こう」
貴俊に誘われ、アパートの前にハザードランプをつけて停車していた彼の車に乗り込む。
「洋服を買っていただいてありがとうございました。こんなに素敵な服を着るのは初めてなので、ちょっと緊張します」
おかげで助手席に座っても背中をゆったり預けられず、背すじをピンと伸ばした状態。足を揃えて手を膝の上に揃えて置き、かしこまった体勢だ。
「明花はなにを着ても似合うだろうから、今度一緒に行っていろいろ着せたい」
「もうこれで十分です」
「そう言うな。俺の楽しみって言っただろう?」
貴俊は明花にちらっと視線を送って笑った。
滑らかに走りだした車は住宅街を抜け、高層ビルが建ち並ぶ賑やかな繁華街に差しかかる。渋滞の列を逸れ、貴俊はコインパーキングに車を止めた。
「ちょっと待って」