政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
普段ぺったんこのパンプスを履いているため、ドレスに合わせたピンヒールは足がぐらつくのだ。
慌てて彼から離れようとしたが、逆に彼の腕がふわりと抱き込む。
「それならこうして歩こう」
貴俊は明花の体勢を整えて腕を取り、自分の腕と絡めた。
「しっかり捕まって」
「ありがとう、ございます」
言われるままに従う。しがみつくような不格好さは否めないが、そうして歩くと随分いい。――恥ずかしいのと照れくさいのを除けば。
貴俊に支えられるようにして高層ビルのエレベーターに乗り込む。パネルの階層表示がぐんぐん上がり、貴俊が指定した三十階に到着した。最上階だ。
扉が開いてすぐ、色とりどりの風船と開店祝いの花が明花たちを出迎える。スペースいっぱいに並べられた中には貴俊の名前が記されたものもあった。
受付を済ませて店内に入ると、青いラインの入った真っ白な壁が真っ先に目に飛び込む。椅子やテーブルクロスも白く、とても爽やかな印象だ。
床のタイルの個性的な模様も鮮やかな青と白が使われ、地中海風のデザインが美しい。
貴俊にイタリアンレストランだと聞き納得だった。