嫌われ者で悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。

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 どうして、どうしての堂々巡り。いくら考えても分からず……ポーッと、窓からロレッテは青空を眺めていた。「ワン!」開けていた窓から、1匹のモコモコの白い子犬が顔をだす。

「まあ、今日も会いにきてくれたの」

 キュン、キュン。

 ようやく外出の許可が降りて、庭を気分転換に庭園を歩いているときに出会った、迷子の真っ白な子犬。この子は首輪をしていなくて、飼い主がいないのか翌日も会いに来てくれた。
 
 可愛いこの子を飼いたいのだけど、お母様が動物アレルギーで飼うことはできない。お父様とお母様には新しい飼い主が見つかるまでと、お願いして。この子がやって来たとき、ロレッテの話し相手になってもらっている。

「……子犬君は今日も元気ね」

 ほんとうは名前をつけたかったのだけど、付けてしまうと……お別れが寂しくなるから我慢している。

「リンゴ食べる?」

 キュン

 子犬は窓枠を飛び超えてロレッテがいる、テーブルの上に飛び乗って寝転んだ、これは撫でていい合図だ。

「モフモフで柔らかい。君とずっと一緒にいたいけど……お母様が動物アレルギーだからごめんなさいね」

 キュ――ン

「フフ、分かってくれるの? やっぱり、君は賢いわね。今日はたくさん撫でてあげる」

 子犬は私の癒しになっている。
 


 ❀



「ロレッテ、そろそろ学園に復学しなさい」
「……はい」

 頭のキズもいえ、体調も良くなった。ロレッテは第二王子オルフレット殿下の婚約者として――学園の生徒たちの見本にならなくてはならないし、周りの声に反応もしてはならないと。オルフレット殿下の婚約者になった日から教えられてきた。


 2日後、ロレッテは学園に復帰した。登校してすぐ、周りはロレッテを見てヒソヒソ話しはじめる。彼らの話す内容には見当がつく。オルフレット殿下とメアリスさんのこと。ロレッテがまた、彼女をいじめるのではないのかという事だろう。

 してもいないことばかり言われて、顔には出さないが、心が彼らの言葉に揺れる。

(こんなの我慢できない無理、家に帰りたい……)

 学園に登校すると。オルフレット殿下に会ってしまうかもしれないと思ったのだけど、殿下の姿はなかった。ロレッテが殿下を探していると思ったのか、お節介な令嬢達が近寄り「殿下はいま忙しくて来られない」と伝えた。

 それはおかしい……毎日、殿下は屋敷へ訪れていた。そのせいで執務が溜まってしまったのかしら。それならそれでいい、いまオルフレット殿下にお会いしてしまったら。感情がおかしくなり、ロレッテは殿下の前で、泣いていたかもしれない。
 
 オルフレット殿下とお会いできないのなら、それでもいいと過ごしているうちに、ひと月も経過していた。
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