あの一夜で身ごもりましたが、結婚はいたしません ~天才心臓外科医の猛攻愛~

 振り絞るようにして囁かれた言葉に、心が震える。

 彼の広い背中に手を回し、抱きしめ返す。

 「私も……瀬七さんのことを、愛しています」

 瞳を閉じて、彼の鼓動を感じる。

 彼ともう一度出会えた奇跡を噛みしめながら、抱きしめる力を強めた。

 「ようやく見つけた。今度こそは離さない」

 耳元で艶やかな声が聞こえ、どきっと鼓動が甘く跳ねる。

 ゆっくりと体温が離れてき、自然と唇を合わせた。

 世界中で、瀬七さんと出会えた奇跡。

 そして……彼と恋に落ちた、かけがえのない栄斗に出会えた奇跡。

 この無数の奇跡を胸に抱いて、私たちは幸せになる。

 「もうおわったぁー?」
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