あの一夜で身ごもりましたが、結婚はいたしません ~天才心臓外科医の猛攻愛~
名医がやってきた


 「おはようままーー! もうおきてよぉ」

 「栄斗(えいと)……おはよう……」

 我が子の声が耳に直接響き、強制的に夢から現実へ引き戻される。

 私の体によじ登っていた栄斗は、すでにスモックを着て登園の準備ばっちりだ。

 「じゃ、ばーばのとこもどるね!」

 「うん……」

 彼が寝室から出て行くのを見送り、ひとりになって盛大なため息を吐く。

 「私、なんちゅう夢を……」

 頭を抱えながらまだけだるさが残る体を起こす。

 あの人に抱かれた、生々しい夢を見てしまうなんて。

 こんなこと今まで一度もなかった……。

 性欲なんて微塵もないと思っていたのに、潜在意識の中に潜んでいたのかと恥ずかしくなる。

 「はぁ……今頃、元気にやってるかな。瀬七(せな)さん」
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