私が一番あなたの傍に…
愁の将来の夢について、初めて聞いた。今までそれどころではなかった…というのもあるが、私自身が何も考えていなかったので、気にしたことすらなかった。
改めて近い将来と捉え始めた途端、自分が何も考えていなかったことを後悔した。そんなに簡単に考えられることではないし、皆じっくり考えた上で答えを出している。
私もあと残り少ない時間で自分のやりたい仕事について考えなくてはならない。焦っても仕方ないと分かってはいるが、目の前で彼氏に差を見せつけられると、焦らずにはいられないのであった。

「そう…なんだ。すごいね。もうやりたい職業があるんだね」

嫌味っぽい言い方になってしまった。私には何もないことを気にしていることが露呈してしまい、恥ずかしい…。

「俺だってつい最近、やりたいことが見つかった感じで。今までは何をやりたいのかなんてちゃんと考えたことすらなかった」

ちゃんと将来、何をやりたいのか考えている人でも、つい最近まで何をやりたいのか考えていなかったことを知り、少し安心した。
でもどのタイミングでやりたいことが見つかるのだろうか。このままじゃ何も見つからない気がして、余計に焦る。

「幸奈。焦る必要はねーよ。まだ全然時間があるし、やりたいことがある人の方が少ないと思う。大体の人はなんとなく就職するようなもんだから」

焦っている私を知り、愁が励ましてくれた。見つかっても見つからなくてもどっちでもいいよって意味なんだと思う。
その言葉が嬉しかった。何もない私でもいいよって言ってもらえているみたいで。
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