私が一番あなたの傍に…
「お待たせ。着替えてみたよ。どう?」

私に似合うと思って用意してくれたものを、わざわざ確認する必要はないが、それでも彼の感想が気になったので確かめてみた。

「とてもよく似合ってる。綺麗…」

私の姿を見て、彼の視線は一気に彼女を愛おしそうに見つめる彼氏の顔をしていた。
私はそんな愁の顔にうっとりしてしまった。

「服とか色々用意してくれてありがとう…」

話題を逸らした。褒められて照れているのを隠すために。

「俺が幸奈に着てほしいって思って、クリスマスプレゼント…ってことで用意しただけだから」

こちらが必要以上に気にしないように、サラッと嬉しいことを言ってくれた。
本当はきっと上品な格好で行くような場所へ行くのであろう。
でもそれに気づかないふりをした。サプライズで喜ばせたいという意図を汲み取ったから。

「そっか。そうだったんだ。こういうワンピースは持ってなかったから嬉しい。ありがとう」

これから着る機会が増えそうだ。大切に着させてもらおうと思う。

「せっかくクリスマスだし、どこかに出かけるか。寒いだろうからちゃんと上着も着て…」

真冬の夜なので確かに外は寒い。ちゃんと防寒対策をしないで出かけたら風邪を引きそうだ。

「分かった。ちゃんと上着を羽織ってくよ」

お気に入りのコートを着た。せっかく綺麗なワンピースをプレゼントしてもらったので、コートもワンピースに合わせたかった。

「幸奈、こっちきて」

言われた通りに近くに寄ると、愁がマフラーを巻いてくれた。

「手出して。手袋も付けないと寒いだろ」

いつも私が使っている手袋を手早く付けてくれた。

「ありがとう…」

「それじゃ行くぞ。ほら手」

愁が手を差し出してきた。私はその手を掴み、手を繋いだ。

「行ってきます」

誰も家にいないが、言ってから家を出た。ちゃんと鍵も閉めて。
今からどこへ向かうのだろうか。今のところ畏まった格好が必要な場所へ行くということだけしか分からない。
格式が高いところへ行くと思うと、少しだけ緊張してきた。それだけ愁の本気度が伝わってきた。
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