私が一番あなたの傍に…
去年の今頃は愁と一緒にクリスマスを過ごせなくて。とても辛かったのを覚えている。
それもこれも愁が悪い。素直にまっすぐ想いを伝えていれば、あんなことにはならなかった。
過去を責めても仕方がないが、その分今は大事にされていると実感している。
だから去年のことなんて忘れた。今、こうして目の前にある幸せが大切だから。

「ありがとう。でもね愁。もう去年のことは忘れて。確かに傷ついたけど、こうして今、一緒に過ごせているだけで私、幸せだよ」

忘れられないくらい辛かったのは事実だけど、それ以上にお付き合いを始めてからたくさん愁に愛情を注いでもらった。
私はそれだけで充分、幸せだ。それに恋人になる前から愁は私に優しかった。
だから愁が自分を責めるほど、責任を感じる必要はない。もし責任を感じるのであれば、これからも私のことをもっと大事にしてくれたらそれでいい。

「…幸奈がそう言ってくれるならそれでいいと思うけど、俺は俺自身が許せない。好きな女を傷つけた責任がある。これから一生を掛けて償っていくつもりだ。もう絶対に傷つけたりしない。俺が幸奈を幸せにする」

愁なりに過去の自分に対してけじめをつけたいのであろう。私が慰めの言葉を言っても愁の心は救われない。
今、愁が欲しいのは私の笑顔だ。今日のために一生懸命準備してくれた愁のためにも、全力でこのデートを楽しむことにした。

「もう充分過ぎるぐらい、幸せにしてもらってるよ。だからこれからも私を幸せにすることを最優先にしてね」

これが愁が欲しかった言葉だと思う。彼が感じている心の痛みを受け止め、その上で彼が望んでいることを叶えてあげるのが私の役目だ。
彼が私を幸せにしたいと思う気持ちがあるように、私も彼を幸せにしたいと思っている。
だからこそ彼が願う幸せに寄り添った。それが私の幸せであるのと同時に彼の幸せでもあると信じて…。

「俺の身勝手な我儘に振り回したのにも関わらず、今も傍に居てくれてありがとう。そして幸せだって思ってくれてありがとう。これからも俺が幸奈を幸せにできるように頑張る」

手を繋いでいる彼の手から彼の想いの強さが伝わってきた。
彼は心の傷みを知ったから、もう二度と私を傷つけることはないと信じている。

「こちらこそいつも傍に居てくれてありがとう。これからもよろしくお願いします。愁がたくさん幸せにしてくれるのを楽しみにしてる」

普通ならプレッシャーを与えることになるが、愁にとってはこれくらい我儘を言った方が良い責任を果たせるのであろう。
愁がそれで良いならそれでいい。これから遠慮なく我儘を言ってみようと思う。早く愁の心が軽くなることを願った。
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