私の可愛い(?)執事くん
.
「・・・ごめん、もう一回言って」
「口移しがいい」
聞き間違いじゃなかった!
口移しって親鳥がやるやつ?
「じゃなきゃ飲まない」
頬を膨らませて拗ねる表情に根負け。
「ちょっと待って」
スマホで調べてざっくりだけどわかった。
薫のくれたネックレスを外してそばに置く。
(主人の役目、主人の役目、主人の役目)
薬を少し口に含む。
(にっが、え、こんな苦いの!?)
息を整えて陽の顔を少し上に向けて
流し込む。
(少しずつ、慎重に。余計なことは考えないように)
飲み込んで口内が空になればまた薬を含んで
飲ませる、を繰り返した。
小瓶が空になったのを確認して陽を寝かせる。
「一緒に寝てくれないの?」
母親にねだるような小さな声。
「ごめん、やることがあるの。眠って
目が覚めたら、もう大丈夫だから」
頷いて目を閉じる。
眠ったのを確認して頭を撫でて
ネックレスを付けて部屋を出る。
「見張りありがとう、薫」
「大丈夫でしたか?
いかがわしいことされてませんか?」
焦っている薫に平常心を装う。
「大丈夫、心配してくれてありがとう。
陽も今眠ってるけど大丈夫だと思う。」
心底安堵した顔にちょっと胸が痛む。
(ごめん薫。何があったかあなたにも言えない)
薫を置いて会場に戻ろうとすると呼び止められる。
「背中空いてますよ」
「え!?ごめん、閉めてくれる?」
「ほんとうに何もされてませんか?」
ファスナーを閉める声は疑いが含まれている。
「ほんとうに大丈夫だから」
会場に戻るとあの男性はもういない。
聞くと、警察につれていかれたらしい。
この場にいる全員が何をしようとしたか理解しているので戻ってきても誰も関わらないだろう。
そのあと続ける雰囲気ではなくなり、
お開きとなった。
夜、眠ろうと目を閉じても熱を帯びた青い瞳が、
口移しで飲み込む音を何度も思い出してしまい
目が冴えてなかなか眠ることができなかった。
目を覚ますと深夜で自分の部屋だった。
(なんか、口の中が苦いような。)
食堂で水を飲んでまた布団に戻る。
会場でジュースを飲んで具合が悪くなったのは
覚えてる。
(・・・その後、どうなったんだ?
階段に座って、・・・お嬢様が来たような。
朝、お嬢様に聞いてみよう)
三つ編みをまとめながら聞く。
「ということなんです。
俺がいない間、何があったんですか?」
「・・・何もないよ」
「いや、何もないなんて。・・・お嬢様?」
なぜかお嬢様と目が合わない。
「!もしかして、お嬢様に対して何か粗相を・・・!」
「大丈夫だから!」
「ですが」
「なんでもないから!」
しつこい陽に怒鳴ってしまった。
「申し訳ありません。もう二度とこのことは口に
しません」
しょぼんとするが耐えた。
あんな要求をする陽が悪いんだから
(一刻を争うときに手段なんて選べないけど、
あれはまずかった。
こんなこと、誰にも言えない!)
「口移しがいい」
聞き間違いじゃなかった!
口移しって親鳥がやるやつ?
「じゃなきゃ飲まない」
頬を膨らませて拗ねる表情に根負け。
「ちょっと待って」
スマホで調べてざっくりだけどわかった。
薫のくれたネックレスを外してそばに置く。
(主人の役目、主人の役目、主人の役目)
薬を少し口に含む。
(にっが、え、こんな苦いの!?)
息を整えて陽の顔を少し上に向けて
流し込む。
(少しずつ、慎重に。余計なことは考えないように)
飲み込んで口内が空になればまた薬を含んで
飲ませる、を繰り返した。
小瓶が空になったのを確認して陽を寝かせる。
「一緒に寝てくれないの?」
母親にねだるような小さな声。
「ごめん、やることがあるの。眠って
目が覚めたら、もう大丈夫だから」
頷いて目を閉じる。
眠ったのを確認して頭を撫でて
ネックレスを付けて部屋を出る。
「見張りありがとう、薫」
「大丈夫でしたか?
いかがわしいことされてませんか?」
焦っている薫に平常心を装う。
「大丈夫、心配してくれてありがとう。
陽も今眠ってるけど大丈夫だと思う。」
心底安堵した顔にちょっと胸が痛む。
(ごめん薫。何があったかあなたにも言えない)
薫を置いて会場に戻ろうとすると呼び止められる。
「背中空いてますよ」
「え!?ごめん、閉めてくれる?」
「ほんとうに何もされてませんか?」
ファスナーを閉める声は疑いが含まれている。
「ほんとうに大丈夫だから」
会場に戻るとあの男性はもういない。
聞くと、警察につれていかれたらしい。
この場にいる全員が何をしようとしたか理解しているので戻ってきても誰も関わらないだろう。
そのあと続ける雰囲気ではなくなり、
お開きとなった。
夜、眠ろうと目を閉じても熱を帯びた青い瞳が、
口移しで飲み込む音を何度も思い出してしまい
目が冴えてなかなか眠ることができなかった。
目を覚ますと深夜で自分の部屋だった。
(なんか、口の中が苦いような。)
食堂で水を飲んでまた布団に戻る。
会場でジュースを飲んで具合が悪くなったのは
覚えてる。
(・・・その後、どうなったんだ?
階段に座って、・・・お嬢様が来たような。
朝、お嬢様に聞いてみよう)
三つ編みをまとめながら聞く。
「ということなんです。
俺がいない間、何があったんですか?」
「・・・何もないよ」
「いや、何もないなんて。・・・お嬢様?」
なぜかお嬢様と目が合わない。
「!もしかして、お嬢様に対して何か粗相を・・・!」
「大丈夫だから!」
「ですが」
「なんでもないから!」
しつこい陽に怒鳴ってしまった。
「申し訳ありません。もう二度とこのことは口に
しません」
しょぼんとするが耐えた。
あんな要求をする陽が悪いんだから
(一刻を争うときに手段なんて選べないけど、
あれはまずかった。
こんなこと、誰にも言えない!)