私の可愛い(?)執事くん
.
外の階段にお嬢様はハンカチを敷いて座る
「体、大丈夫?顔もだけど」
(強がってもお見通しなんだろうな)
「正直痛いです。でも死ぬほどってわけではないですから大丈夫です。後でちゃんと診てもらいます。
お嬢様を守れたのなら執事冥利につきます」
笑ってみせるがお嬢様は俯いている
「これ、拾っておきました」
髪飾りをお嬢様に渡す。
「これ、どこに」
「ここに来る前に見つけたんです」
「ありがとう、陽」
受け取った髪飾りを定位置につける。
10分ほどして薫さんが来た。
「お待たせしました、お嬢様、あとは警察に任せて
帰りましょう」
10人ほどいたのに傷一つついていない薫さんに
憧れと怖さを感じて上着を受け取った。
「いてて、」
「名誉の傷ってやつ?」
お嬢様の担当医に診てもらう。
リーダーと担当医は親友で誘拐のことも怪我の理由も知っている。
時間差で少し腫れた顔。傷に触れピリピリした
痛みに思わず顔歪める。
「顔もだけど他の場所もそんなに心配しなくて
大丈夫だよ」
「そうですか、安心しました」
治療室をでて会計をして病院を出る。
帰る頃には夕暮れになっていた。
屋敷に帰って燕尾服に着替えてお嬢様の部屋へ。
お嬢様はベットに腰掛けていた。
そばに行って控える。
「どうだったの」
「先生は大丈夫だとおっしゃっていました。
「そう」
お嬢様の返事はそっけない。
「逃げればよかったのに」
「はい?」
「なんで逃げなかったの。
近づくなって言った、でも逃げるなとは言ってない。逃げていれば陽は傷つかなかったかもしれないのに」
「お嬢様を危険な目に合わせたまま逃げるなど
できません」
「今回は暴力で済んだ。でももし仮にどちらか
1人なら救えるって言われたらどうする?」
「もちろん俺はお嬢様を選びます。この命はお嬢様に捧げる覚悟があります。」
(お嬢様さまを救えるのならこの体なんて捨ててやる)
「陽、ちょっとこっちきて」
「ですが」
「いいから」
反論させないと言っているような眼差し。
ため息を飲み込んで、隣に立つ。
お嬢様は押し倒さして馬乗りになる。
何かするとはわかっていたけど好きにさせた。
(まさかこうなるなんて思わなかったけど)
「おじょ」
「私、怖かったんだよ」
遮られた。その声は冷たくもあり少し震えていた。
「殴られてるのを見て、蹴られてるのを見て、
陽が傷つくのを見て、なにもできない自分が嫌で。
執事冥利?そんなの知らないわよ。
その上、わたしに捧げるって。
捧げられる身にもなりなさい!!」
泣いていた。
お嬢様の涙は俺の目元に溜まり横に流れる。
「渚様、」
バッと離れて部屋を出ていった。
(泣いてるの、久しぶりに見た。
あの時誓ったのに)
自分自身に腹が立って舌打ちをした。
あてもなく廊下を歩く。
(なんなの、陽は!
命を捧げるって簡単に言うことじゃないじゃん!
わたしのために死ぬってことだよ!
そんなの、そんなのって)
言葉にできない感情が胸の中で渦巻く。
「お嬢様、ちょうどよかったです。
お夕食はいかがなさいますか」
司が満面の笑みで厨房から顔を出す。
「準備してくれる?食べたい」
「かしこまりました」
引き返して部屋に戻ると陽はもういなかった。
(自分の部屋に戻ったのかな)
さっきできたベットのシワも綺麗にされていた。
(陽は執事だから、執事じゃなかったら命を
捧げるとか言わなかったのかな)
夕食後、お風呂に入って寝る準備もしたが
眠れなかった。
「体、大丈夫?顔もだけど」
(強がってもお見通しなんだろうな)
「正直痛いです。でも死ぬほどってわけではないですから大丈夫です。後でちゃんと診てもらいます。
お嬢様を守れたのなら執事冥利につきます」
笑ってみせるがお嬢様は俯いている
「これ、拾っておきました」
髪飾りをお嬢様に渡す。
「これ、どこに」
「ここに来る前に見つけたんです」
「ありがとう、陽」
受け取った髪飾りを定位置につける。
10分ほどして薫さんが来た。
「お待たせしました、お嬢様、あとは警察に任せて
帰りましょう」
10人ほどいたのに傷一つついていない薫さんに
憧れと怖さを感じて上着を受け取った。
「いてて、」
「名誉の傷ってやつ?」
お嬢様の担当医に診てもらう。
リーダーと担当医は親友で誘拐のことも怪我の理由も知っている。
時間差で少し腫れた顔。傷に触れピリピリした
痛みに思わず顔歪める。
「顔もだけど他の場所もそんなに心配しなくて
大丈夫だよ」
「そうですか、安心しました」
治療室をでて会計をして病院を出る。
帰る頃には夕暮れになっていた。
屋敷に帰って燕尾服に着替えてお嬢様の部屋へ。
お嬢様はベットに腰掛けていた。
そばに行って控える。
「どうだったの」
「先生は大丈夫だとおっしゃっていました。
「そう」
お嬢様の返事はそっけない。
「逃げればよかったのに」
「はい?」
「なんで逃げなかったの。
近づくなって言った、でも逃げるなとは言ってない。逃げていれば陽は傷つかなかったかもしれないのに」
「お嬢様を危険な目に合わせたまま逃げるなど
できません」
「今回は暴力で済んだ。でももし仮にどちらか
1人なら救えるって言われたらどうする?」
「もちろん俺はお嬢様を選びます。この命はお嬢様に捧げる覚悟があります。」
(お嬢様さまを救えるのならこの体なんて捨ててやる)
「陽、ちょっとこっちきて」
「ですが」
「いいから」
反論させないと言っているような眼差し。
ため息を飲み込んで、隣に立つ。
お嬢様は押し倒さして馬乗りになる。
何かするとはわかっていたけど好きにさせた。
(まさかこうなるなんて思わなかったけど)
「おじょ」
「私、怖かったんだよ」
遮られた。その声は冷たくもあり少し震えていた。
「殴られてるのを見て、蹴られてるのを見て、
陽が傷つくのを見て、なにもできない自分が嫌で。
執事冥利?そんなの知らないわよ。
その上、わたしに捧げるって。
捧げられる身にもなりなさい!!」
泣いていた。
お嬢様の涙は俺の目元に溜まり横に流れる。
「渚様、」
バッと離れて部屋を出ていった。
(泣いてるの、久しぶりに見た。
あの時誓ったのに)
自分自身に腹が立って舌打ちをした。
あてもなく廊下を歩く。
(なんなの、陽は!
命を捧げるって簡単に言うことじゃないじゃん!
わたしのために死ぬってことだよ!
そんなの、そんなのって)
言葉にできない感情が胸の中で渦巻く。
「お嬢様、ちょうどよかったです。
お夕食はいかがなさいますか」
司が満面の笑みで厨房から顔を出す。
「準備してくれる?食べたい」
「かしこまりました」
引き返して部屋に戻ると陽はもういなかった。
(自分の部屋に戻ったのかな)
さっきできたベットのシワも綺麗にされていた。
(陽は執事だから、執事じゃなかったら命を
捧げるとか言わなかったのかな)
夕食後、お風呂に入って寝る準備もしたが
眠れなかった。