私の可愛い(?)執事くん
・
呆然と立っていた陽。
理解した途端、頬を染めて狼狽える。
「え、あー、すみません。
色々ありすぎて理解が」
「こんな私だけど、ダメかな?」
ピタリと動きが止まる。
陽は近づいて、恐る恐る私の手に触れる。
「ずっと、ずっと前から好きでした。
主人ではなく1人の女の子として。
こちらこそ、よろしくお願いします」
(恋人になれたんだ。
顔が熱い、触れられた手が熱い)
嬉しくて、恥ずかしくて見られたくなくて
陽の胸に顔を埋める。
肩に優しく手を添えてくれる。
「お嬢様、」
「渚」
「え、」
「名前で呼んで。彼女、なんだから」
「な、渚さん。だ、抱きしめてもいい?」
「・・・当たり前でしょ。彼氏なんだから。
あと呼び捨てがいい」
「やっとこの距離で触れられる」
ふわりと香る柔軟剤、微かに感じる鼓動、
(あたたかい)
「あの、一つ訂正いいですか?」
「なに?」
「俺、執事辞めませんよ」
(・・・?)
バッと離れて目を見る。
嘘を言ってる様子はない。
「え、だって、この前もう少ししたらいなくなっちゃうって薫と話してたの聞いちゃったんだけど」
「あれ、聞こえていたんですか?
お祖父様が急に4月から1週間、執事としての振る舞いをみっちり教育すると言い出して。
今までのおさらいという感じですけど。
それで1週間は休暇という形になったんです。」
(そういえば、薫と陽との会話もどこか噛み合って
なかった気がする)
「それじゃあ執事を辞めるって言うのは」
「渚さんの勘違い、ですね」
恥ずかしくて顔を覆う
「ごめん、陽。勘違いして」
「大丈夫ですよ。安心してください。
どんなかたちでも俺は渚の隣にいますから。
ずっと」
そう言ってくれて胸がスッと軽くなる。
「あのさ、か、彼女になれたんだから呼び捨てと
タメ口がいいな。でもみんないる時は敬語にしてくれる?」
「分かった、それが渚の望みなら」
「ごめん、こんなめんどくさいこと言って」
「全然。嬉しいよ、立場がなくなって彼氏なんだって実感できる。
それと俺、この後屋敷に帰る予定だったんだ」
「そう、なんだ」
(なんか帰りづらいな。薫に勘違いしてたなんて
言うのは恥ずかしいし)
私の事情を知ってか知らずか
「なんなら泊まっていく?
また母さんに勧められて〜とか言って」
ニコニコしながら聞いてくる。
恋人になった今捉え方が変わって聞こえる
(変な意味じゃないんだろうけどドキドキする)
「変なこと考えちゃった?」
耳元で囁かれてくすぐったくて
図星を突かれて顔が赤くなる。
「冗談だよ、今はね」
笑っていたけど、ぼそっと聞こえた一言。
(今は、ってことはいつかは)
想像して心臓が跳ねる。
(陽、こんな性格だったんだ。
優しい陽も好きだけど、ちょっといじわるなのも
好き)
新しい一面を知って嬉しくなる。
陽と屋敷の近くまで手を繋いで帰った。
理解した途端、頬を染めて狼狽える。
「え、あー、すみません。
色々ありすぎて理解が」
「こんな私だけど、ダメかな?」
ピタリと動きが止まる。
陽は近づいて、恐る恐る私の手に触れる。
「ずっと、ずっと前から好きでした。
主人ではなく1人の女の子として。
こちらこそ、よろしくお願いします」
(恋人になれたんだ。
顔が熱い、触れられた手が熱い)
嬉しくて、恥ずかしくて見られたくなくて
陽の胸に顔を埋める。
肩に優しく手を添えてくれる。
「お嬢様、」
「渚」
「え、」
「名前で呼んで。彼女、なんだから」
「な、渚さん。だ、抱きしめてもいい?」
「・・・当たり前でしょ。彼氏なんだから。
あと呼び捨てがいい」
「やっとこの距離で触れられる」
ふわりと香る柔軟剤、微かに感じる鼓動、
(あたたかい)
「あの、一つ訂正いいですか?」
「なに?」
「俺、執事辞めませんよ」
(・・・?)
バッと離れて目を見る。
嘘を言ってる様子はない。
「え、だって、この前もう少ししたらいなくなっちゃうって薫と話してたの聞いちゃったんだけど」
「あれ、聞こえていたんですか?
お祖父様が急に4月から1週間、執事としての振る舞いをみっちり教育すると言い出して。
今までのおさらいという感じですけど。
それで1週間は休暇という形になったんです。」
(そういえば、薫と陽との会話もどこか噛み合って
なかった気がする)
「それじゃあ執事を辞めるって言うのは」
「渚さんの勘違い、ですね」
恥ずかしくて顔を覆う
「ごめん、陽。勘違いして」
「大丈夫ですよ。安心してください。
どんなかたちでも俺は渚の隣にいますから。
ずっと」
そう言ってくれて胸がスッと軽くなる。
「あのさ、か、彼女になれたんだから呼び捨てと
タメ口がいいな。でもみんないる時は敬語にしてくれる?」
「分かった、それが渚の望みなら」
「ごめん、こんなめんどくさいこと言って」
「全然。嬉しいよ、立場がなくなって彼氏なんだって実感できる。
それと俺、この後屋敷に帰る予定だったんだ」
「そう、なんだ」
(なんか帰りづらいな。薫に勘違いしてたなんて
言うのは恥ずかしいし)
私の事情を知ってか知らずか
「なんなら泊まっていく?
また母さんに勧められて〜とか言って」
ニコニコしながら聞いてくる。
恋人になった今捉え方が変わって聞こえる
(変な意味じゃないんだろうけどドキドキする)
「変なこと考えちゃった?」
耳元で囁かれてくすぐったくて
図星を突かれて顔が赤くなる。
「冗談だよ、今はね」
笑っていたけど、ぼそっと聞こえた一言。
(今は、ってことはいつかは)
想像して心臓が跳ねる。
(陽、こんな性格だったんだ。
優しい陽も好きだけど、ちょっといじわるなのも
好き)
新しい一面を知って嬉しくなる。
陽と屋敷の近くまで手を繋いで帰った。