私の可愛い(?)執事くん

植物園を全て見て退園。
近くのおしゃれなカフェで昼食。

その後はショッピングモール内の本屋さんで
陽は気になった小説を買った。

「どんな話?」
「ミステリー作品で結構怖いみたい。
読み終わったら貸す?」
「遠慮します。わかってるくせに」
いたずらするみたいに笑っていた。

「陽ってそんなふうに笑うんだね」
「いきなりなに?今までとあまり変わらないと
思うけど」
(彼氏だから見え方が違うのかな)

雑貨店では綺麗な蝶の刺繍がされたハンカチを
見つけた。
(でも使わないハンカチいっぱいあるしこれ以上
ふえてももったいないし)
「なにかあった?」
「いや、なにも」
(今回はやめておこう)

「ちょっとあそこのベンチに座って待ってて」
「分かった」
雑貨店を出てすぐのところにベンチがあり
座って待っている。
陽は雑貨店に戻って行った。
(買い忘れかな)

少し遅いと心配になっていると
「ちょっとそこのおねーさん」
辺りを見渡すとちょっと年上くらいの男性が2人。
(大学生かな)

「おねーさん1人?ちょっと俺たちと遊ばない?」
「すみません、彼氏がいるので」
「えー、でも今いないでしょ?
ちょっとくらい大丈夫だって」
「いえ、彼に不誠実なことはしたくないので」
「真面目ちゃんだね。でもそういう子は好きだな」

聞いてくれずに困っていると手を掴まれた。
「やめてください」
離してくれず立ち上がらないようにベンチの
手すりを掴む。
「そんなこと言わないで」
周りは巻き込まれたくないのか助けてくれない。

ちょっと目を離した隙に渚が絡まれていた。
「なにしてるですか?」
俺が来たことで明らかにホッとしている。
「一応聞くけど、知り合いとかじゃないよね」
小さく頷いたのを確認して男性の手を掴んで
離させた。

「すみません、今デート中なんです。
ナンパなら他所にあってください」
「え、こんなガキが彼氏?
おねーさん、考え直したほうがいいよ」

「おあいにく様、アタックしたのは私の方なので」
気のせいか怒ってきるように感じる。
(俺のために怒ってくれたら嬉しいな)
「なにニコニコしてんの、陽」
「なんでもないよ」

「俺の前でイチャつくんじゃねーよ!」
「「イチャついてないけど」」
「チクショー、寧ろあんなのはイチャつきに
カウントされないのか」
(バカにしたり怒ったり落ち込んだりめんどくさい人)

「というか、お前ら本当にカップルかよ」
「だからそう言ってるじゃないですか」
「だったらキスの一つでもしてみせろよ」
お互いに目が丸くなる。

「はぁ?
なんでそんなことをあなたに言われないと
いけないんですか?
そもそも公共の場でそういうことをいうのは
どうかと思います。
大の大人が惨めですね。
だから彼女できないんですよ。」
言葉がクリティカルヒットしてるのか
うめき声をあげる。

「バカにしやがって!」
1人が殴りかかってきた。
(沸点低いなー)
渚に離れててもらおうと見るともう遠くにいた。
(下がるの早いな)

とりあえず足をかけて転ばせて
地面に顔をつけるのを襟を掴んで阻止。
「よかったですね、地面とキスしないで済んで」
悔しそうな声を出して、俺の手から逃げていく。
一緒にからかってたもう1人も後ろから
追いかけていく。

少し周りがざわついているけど気にしないで
渚の手を取る。
「行こうか、渚」
「うん」
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